つんどく、よんどく?

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人類最後の瞬間を体験するならこの本

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最初の投稿はSF小説アーサー・C・クラーク幼年期の終わり

普段あまり読むことの少ない小説。

あるブログで絶賛して紹介されていたのを見て、読んでみようと思ったのがきっかけでした。

ちなみに最近読んだSF小説といえば、ジョーオーウェルの【1984年】だけど、

この本のラストよりある意味衝撃的な結末が待っていたのは、

読前の私には知る由もありませんでした。

 

哲学的なSF小説 


 

 

 

 

 

舞台は、現代の地球。突如として現れた宇宙船にのってやってきた、

オーヴァーロードと呼ばれる宇宙人(異星人?)が、統治した世界。

彼らの圧倒的な力によって、戦争や紛争等をはじめとした犯罪が滅多に起こらない極めて平和な世界が訪れていた。

彼らはなぜやってきたのか。その意味を解き明かす旅がこの本の主題だ。

人類(幼年期)はどこへ行き着く(終わる)のか。

SF作品としては、とても哲学的で、示唆の多い小説だった。

 

人はどこへ向かっているのか

普段暮らしている私たちの視点が、

私たちの足元を歩いているアリの視点のように感じさせてくれた、というのが私の読後感でした。

 

今私はこうして、文章を飄々と書いている。

この瞬間はこのPCの画面の中で生きている。

このひとときは、自分との対話という手触り感のある感覚にあって、ある種の充実感を感じる時間だ。

しかし、いざ視点や意識を地球の外、宇宙、はたまた銀河系の外へ持っていくとどうだろう。

そこには、なんとも言えない虚無感に満ちている世界が待っている。

 

我々人間は

どこへ向かっていて、どこへ向かうのか。なんのために生きているのか。

これまで生きてきた、なん億人、何十億、何百億人もの人たちが考えてきたであろう、

人間にとってのその究極の問いと、その答えの可能性の一つをこのストーリーの中で提示している。

忙しい毎日をせっせと生きるアリのような私たちに、

夢の中で飛んでいる鳥のようなふわふわした感覚と、自分を俯瞰させてくれる視点を与えてくれる、

そんな作品のように感じました。

 

この作品が、SF小説として長く読み続けられている理由は、

そんな点にあるのかなと、自分と対話しながらふと思ったり。。

 

人ってなんなんだろうね。

エヴァンゲリオンか!”

読後直後、そう思ったのはナイショ。

最後にオーヴァーロード(異星人)が語る、未来と過去が繋がっている、という話は何度読んでも自分の中で理解できないのが悔しい。

引用してみる。

 ”それは時間の閉回路を未来から過去へぐるりと一周して響いた、ねじれたこだまのようなものだった。だから、記憶と呼ぶべきものではないんだよ。記憶ではなく、予知という方が当たっている。" 

過去と未来は直線じゃなくて、円として繋がってる、らしい。

うむむ。

でも、こういうよくわからんところを、

自分の頭の中でこねくり回して考えるのが、小説を読む醍醐味なんやなーと

再確認した夜でした。