つんどく、よんどく?

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今まで見えてなかった「ミチ」が見えてくる、そんなブログ。

効率良く覚えたいなら、記憶のメカニズムを知っとくべし。

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暗記、と聞くと、

高校時代にターゲット1900という単語帳を、

ボロボロになるまで何度も読み返していたあの頃を思い出します。

毎日頑張って覚えようとしてるのに、なかなか覚えられない。


 

誰しも一度はそんな経験をしたことあるのではないでしょうか。

そこで今日は、暗記の元となる”記憶”のメカニズムに迫った本をご紹介します。

 

池谷裕二著、記憶力を強くする

 

いわゆる科学本ってやつで、

ある種、興味を持たないと絶対に手に取らないような本の種類のうちの一つ

と言っても過言ではないでしょう。(笑)

しかし、この本は科学本の中でも一線を画しています。

どんな本なんでしょうか。

 

読者の好奇心を引き出す科学書

読み進めていくうちに知的好奇心をくすぐられ、

気がついたら読み終わってしまった、

そしてちょっと頭が良くなった気にさせてくれる、そんな本でした。 

この本のような読者を惹きつける科学本に出会うことはなかなかありません。

 

科学書でよくあるのが、

まず現象を紹介し、

その根拠となる研究だったり、文献だったりを持ち出して、その主張を補強し、

読者に対する主張を強める、

といったような構成の内容が一冊通して続く本です。

 

 いつまでも、同じ主張を繰り返し、

ただひたすらにその根拠を提示されるだけという、

自分の忍耐力との戦いが求められるような読書は、

正直しんどく、途中で挫折してしまうのもザラにあります。 

内容は興味深いのに、その文章構成によって、

読者の好奇心を阻害し、興味を薄めてしまっているような本と出会うといつも

残念な気持ちに苛まれます。

 

それに対し、

池谷氏のこの本は内容、文章構成ともに、

読者をひきつける作品として完成しており、 

素直にいい本と出会えた、と思えました。

 

LTPが記憶の鍵を握る

ところで肝心の内容ですが、

ここでは、記憶を司る海馬の中で起きる重要な現象、

LTP(Long term potentiation)について、

自分なりに咀嚼した範囲で簡単に説明してみようと思います。 

 

人がある情報をインプットした時、

その情報が記憶されるかされないか、その判断をする脳の箇所があります。

それは海馬です。

その海馬に記憶してもらえるように判断してもらうために

重要となってくる現象が、

LTP(Long term potentiation)です。

このLTPが強くなればなるほど、

インプットした情報は、記憶されるようになります。

では、そのLTPをどうやって強くさせるのか。

 

強くさせる方法の一つに、情動の力を利用することがあります。

LTPは、扁桃体という人間の情動を司る脳の一部分が

強く反応するときに強化されることがわかっています。

単に英単語を無味乾燥に一対一対応で覚えようとすると、

なかなか覚えられないことが経験的にわかると思います。

だから、何らかのストーリーをつけたり、

環境の変化をつけてあげて何かしらの情動と結びつけてあげることで、

LTPが強く現れ、記憶しやすくなるということになります。 

つまるところ、

いかにLTPを発現させるか

ということが

記憶力を向上させるために重要なカギを握っているのです。

 

記憶のメカニズムを知って、あなたもちょっと頭が良くなった気分に。

その他、記憶は、

  • エピソード記憶(いつでも思い出せる昔の思い出とかの記憶) 
  • 短期記憶一時的な記憶) 
  • 意味記憶(英単語とかの記憶。例えばplayと言う単語を聞いた時に”遊ぶ”と言う意味が思い出せるが、何もきっかけがない時に”play=遊ぶ”とは思い出せない。ちょっと説明が難しい…詳しくは本書を 苦笑) 
  • ライミング記憶(この概念は説明が難しい。強引に端的に言うと、”勘違い”を引き起こす記憶のこと) 
  • 手続き記憶(お箸の使い方とか自転車の乗り方等の記憶) 

などと分類されることがもっともっとわかりやすく説明してあったり、 

実際に、海馬の中ではどのようなメカニズムによって、

情報の取捨選択や伝達が行われているのか

脳科学未修者でもわかるように解説してあります。 

 

そしてそれらの学んだ知識をもとに、

では実際にどうやって記憶力を鍛えていくのかという話に入っていきます。 

 

容易に記憶のメカニズムを理解でき、少し頭が良くなった気分になれるので、

ぜひその先の内容は、実際に読んで、楽しんでもらいたいと思います。

 

どうやって記憶したのか、記憶した当時を振り返ってみる。

あらゆる物事を記憶しようとするときに、

この本の内容を理解しているのとしないのでは、 

とてつもなく大きな時間効率の差が生まれてくると思います。

 

また、今自分が覚えている記憶に関して、

記憶のメカニズムという観点から

あの時どうやって記憶したのだろうか

と振り返ってみるのも、

新しい発見があって面白いかもしれません。

 

ただ、この本は2001年に刊行された古い本なので、

現代の研究の進歩と照らし合わせると、事実関係は大きく変わっているかもしれません。

なので個人的には、現代の科学の進歩を含めた改訂版の発売を、

ひそかに待ちたいと思います。