あなたが今取り組んでいることは、本当にやる価値がありますか。
久しぶりの再読です。
メタップス佐藤航陽さんの未来に先回りする思考法。
この本は、
市場やテクノロジーが目まぐるしく変化する今の時代において、
どのように次の行動を取っていけばいいのか全くわからなくなっている、99%の凡人に、
目の前の物事の捉え方と、まわりより一歩先に踏み出すための考え方を教えてくれる教科書です。
私が所持している本の中で、読むたびに新たな気づきを与えてくれる、
数少ないスゴい本です。
人は必要に迫られないと行動しない。
文中では、なぜアメリカでは世界を変えるようなイノベーションが起きて、
日本からはなかなか起きないのか、
その原因に必要性の存在を挙げています。
その必要性というのは、”生存のための”必要性です。
多様な人種が集まり、常に競争意識に迫られるアメリカと比べて、
生存のための差し迫った必要性が日本には存在しません。
それが、日本においてイノベーションが起きない大きな理由だと主張します。
個人単位でも、あらゆる身の回りのことに目を向けても、このことは当てはまります。
例えば、掃除や洗濯、栄養のバランスを考えた食生活などなど。
私自身も腰を悪化させてしまってから必要性を感じて、
自分の体調を気にかけた生活を心がけるようになりました。
イノベーションというとてつもなく大きなスケールの出来事も、
元をたどれば、人として生きていくための原始的な欲求に紐付いたものであるということです。
将来、人間と機械は融合する。
なぜなら、今後テクノロジーの進化によって、「人間の機械化」と「機械の人間化」が同時に進んでいき、人間という存在そのものもテクノロジーによって変化していくからです。未来に先回りする思考法 p174より抜粋
機械の人間化、という視点は、
人工知能とロボット技術の発達により考えられうる未来という意味で、
多くの科学者や評論家の人たちが議論しているのをよく耳にします。
ただ、人間の機械化、という視点は、目からウロコでした。
確かに考えてみると、ロボット技術や医療技術の進化がもたらす未来を想像してみれば、その世界は容易にイメージできることに気づきます。
テクノロジーが発達した未来では、治らない病気は限りなくゼロに近づくだろうし、
悪くなった体の一部分は、人工の機械などに取って代わられて、
ついには死という概念すら克服する可能性があります。
そうすると、人と機械、それぞれの概念は曖昧なものになっていくでしょう。
何をもってして、人を人たらしめるのか。
そのような哲学的な問いに対する答えを探すことが、
我々の世代に課せられた使命なのかもしれません。
テクノロジーとは、単独で存在するものではなく、最終的には人間そのものと融合することが運命付けられたものです。未来に先回りする思考法 p175より抜粋
ロジカルシンキングは絶対ではない。
ロジカルシンキングは確かに大切です。
でも、ロジカルシンキング=正しい は必ずしもそうではありません。
つまり、構築できる「ロジック」は、その人がかき集められる情報の範囲に依存するという危うさをはらんでいます。さらに、ロジカルかどうかの判断は、その母集団の「リテラシー」に依存します。未来に先回りする思考法 p220より抜粋
このことから言えるのは、自分の主張がロジカルだからといって、
100パーセントその自分の考えに身を委ねてはいけない、ということです。
自分の主張、特に自分の中である程度はっきりとした根拠を持ったような主張に対しては、
我々はどうしてもそれを信じ込んでしまう傾向があります。
そういう時にこそ、
・私たちは限られた範囲でしか情報を集められないということ
そして
・主張がロジカルかどうかは、受け手のリテラシーに依る、ということを思い出す必要があります。
それらが凝り固まった自分の思考を柔らかくしてくれることにつながり、
結果的に、周りの人との建設的なコミュニケーションを導くことになるのでしょう。
あなたの目の前のことは、やる価値があるのか。
物事は、惰性で進みがちです。「どうすれば現状のやり方を効率化できるか」と考える前に、「今も本当にそれをやる価値があるのか」を優先して考える癖をつけることをお勧めします。未来に先回りする思考法 p208より抜粋
次から次に状況が変化する現代で生き残っていくためには、
常に原理に基づいて目の前の物事を考えることが、
少しでも正しい道を選択するためのカギだと、佐藤さんは主張します。
惰性で物事を続けていないでしょうか。
なんとなくで、目の前のことに取り組んでいないでしょうか。
少しでも未来に先回りできる思考を身につけるためにも、
ともに、今取り組んでいる目の前のあらゆることの価値を問い直していきましょう。
私は、この問いからはじめたいと思います。
「このブログを書く価値って、本当にあるのかな。」